非常持出袋は、一度作ったら一年中まったく同じ中身でよいとは限りません。
暑い時期には熱中症対策、寒い時期には防寒対策が必要になります。
一方で、春・夏・秋・冬ごとに袋の中身をすべて入れ替える必要があるわけではありません。
基本の非常持出品は維持しながら、季節や災害リスクに合わせて必要なものを追加・見直す考え方が実用的です。
この記事では、
- 春:夏に向けた見直し
- 夏:暑さ・熱中症対策
- 秋:台風・大雨への確認+冬前の見直し
- 冬:防寒対策
という形で整理します。
なお、国が「春はこのセット」「秋はこのセット」と全国共通の季節別必須用品を定めているわけではありません。
特に春と秋は、季節専用の必須品を作るのではなく、次の季節や災害リスクに合わせて中身を点検する時期として扱います。
非常持出袋は「基本セット+季節調整」で考える
非常持出袋の基本的な中身は、季節ごとに一から作り直すものではありません。
非常食品、水、救急用品、ラジオ、懐中電灯、衣類、衛生用品など、基本となる持出品を準備したうえで、季節に合わせて中身を調整します。
たとえば、
夏なら暑さ対策
冬なら防寒対策
台風や大雨が多い時期なら雨具の確認
といった考え方です。
非常持出袋そのものの基本的な中身については、関連記事「非常持出袋の中身|最低限何を入れる?備蓄品との違いも解説」で確認してください。
春|夏に向けて中身を見直す
春について、「全国共通で必ず追加する春専用の非常持出品」は今回の調査では確認できませんでした。
そのため、春は夏に向けて非常持出袋を見直す時期として考えます。
環境省の熱中症予防強化キャンペーンは4月から9月に実施され、4月から6月には暑熱順化や、暑くなる前からの準備が呼びかけられています。
非常持出袋についても、暑くなってから慌てるのではなく、春のうちに夏向けの中身を確認する方法があります。
たとえば、
□ 暑い時期に着る衣類へ見直す
□ 帽子などの暑さ対策用品を確認する
□ 体を冷やすために使えるものを確認する
□ 水分・塩分補給の手段を確認する
といった点です。
これは「春になったら必ず○月○日に入れ替える」という国のルールではありません。
暑くなる前の準備として見直すという考え方です。
夏|熱中症対策を意識する
夏の非常持出袋では、暑さと熱中症への備えを意識します。
厚生労働省は、災害時に停電してエアコン等が使えない場合を含め、熱中症を防ぐために、
- こまめな水分補給
- 塩分補給
- 衣服の工夫
などを案内しています。
一般的な熱中症予防でも、
- 帽子
- 通気性のよい衣服
- 保冷剤
- 冷たいタオルなどによる体の冷却
が挙げられています。
そのため、夏の非常持出袋では、
□ 水分補給の手段
□ 必要に応じた塩分補給の手段
□ 帽子
□ 通気性のよい衣類
□ 体を冷やすために使えるもの
などを確認します。
ただし、
「塩分タブレットを全員必ず入れる」
とはしません。
持病などによって水分・塩分管理が異なる場合があるためです。
公的情報に沿って、水分・塩分補給の手段を確認するという表現にとどめます。
また、夏は非常持出袋の置き場所にも注意が必要です。
車内に非常持出袋を置く場合、モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池製品を真夏の高温になる車内へ放置しないよう注意してください。
非常持出袋の保管場所については、関連記事「非常持出袋はどこに置く?準備した後の保管場所と見直し方」で詳しく確認できます。
秋|台風・大雨への備えを確認する
秋についても、「秋になったら全国共通で必ず追加する用品」という公的な季節別リストは今回確認できていません。
一方で、気象庁によると、台風の発生・接近・上陸は7月から10月に多いとされています。
また、9月以降には台風などが秋雨前線の活動を強め、大雨をもたらす場合があります。
そのため秋は、台風や大雨を意識して非常持出袋を確認する時期として扱えます。
消防庁や内閣府の防災資料では、非常持出品としてレインコートなどの雨具も挙げられています。
秋の見直しでは、
□ 雨具が入っているか
□ 雨具が現在の家族に合っているか
□ 濡れて困る物の扱いを確認しているか
□ 避難時にすぐ持ち出せる状態か
などを確認します。
「秋だから特殊な用品を大量に追加する」というより、風水害を想定して既存の持出品を確認するという位置付けです。
また、秋は冬に向けて防寒用品を見直す時期としても利用できます。
これも国が定めた固定の切替時期ではなく、当サイトによる管理方法の提案です。
冬|防寒用品を確認する
冬は、季節に合わせた追加・見直しを比較的具体的に行えます。
消防庁は非常持出品について、冬場の防寒衣をいつでも取り出せるようにするよう案内しています。
消防庁のチェック資料にも、
- 防寒用ジャケット
- 雨具
- 携帯カイロ
などが掲載されています。
冬の非常持出袋では、
□ 防寒衣
□ 防寒用ジャケットなど
□ 必要に応じた雨具
□ 携帯カイロなどの防寒用品
を確認します。
衣類については、家族の体格や現在使用できるサイズかも確認しておきましょう。
特に子どもの衣類などは、以前準備したものが現在の体格に合わなくなっている可能性があります。
この記事では、全国共通の「防寒用品○個」などの数量は設定しません。
必要な物や数は、家族構成や状況によって異なるためです。
季節ごとの考え方をまとめる
非常持出袋の季節対応は、次のように整理できます。
春
夏前の見直し時期として、暑さ対策用品や衣類などを確認する。
夏
水分・塩分補給、帽子、通気性のよい衣類、体を冷やすものなど、熱中症対策を確認する。
秋
台風・大雨を意識して雨具などを確認し、冬前の見直しも行う。
冬
防寒衣、防寒用ジャケット、携帯カイロなど、防寒対策を確認する。
春と秋は、公的な「専用セット」があるわけではありません。
夏・冬の対策へ切り替えるための点検時期として整理していることがポイントです。
季節が変わるときに一緒に確認したいもの
季節ごとに中身を見直すなら、季節用品だけでなく、非常持出袋全体も確認すると効率的です。
たとえば、
□ 食品や飲料の期限
□ ライトが使えるか
□ 電池などの状態
□ 衣類が現在の季節と体格に合っているか
□ 家族構成や生活状況に変化がないか
□ 必要な薬や用品に変化がないか
などです。
消防庁は備蓄品について、家族や地域の状況、消費期限などを確認しながら定期的にチェックし、必要に応じて入れ替えるよう案内しています。
ただし、
「半年に1回」
「年2回」
といった全国共通の固定点検周期は、今回の調査では確認できていません。
この記事でも特定の周期を国の基準として設定しません。
季節の変わり目を点検のきっかけにするのは、あくまで当サイトによる運用方法の一例です。
非常持出袋を丸ごと4つ作る必要はない
「春用」「夏用」「秋用」「冬用」と、4種類の非常持出袋をすべて作る必要はありません。
基本となる非常持出品を維持しながら、
必要な季節用品だけを追加・交換・確認する
という考え方で十分です。
春・秋については、公的根拠のない専用品を無理に増やす必要もありません。
季節に応じたリスクと、家族に必要な物を確認することを優先しましょう。
中身と保管場所をセットで見直す
非常持出袋は、中身だけでなく保管方法も確認します。
特に夏は、車内など高温になる場所へ置いている袋の中に、モバイルバッテリー等のリチウムイオン電池製品が入っていないか確認が必要です。
また、季節が変わって衣類や用品を入れ替えた結果、袋が重くなりすぎていないか、実際に持ち出せる状態かも確認しましょう。
非常持出袋の置き場所や分散配置、車内保管の注意については、関連記事「非常持出袋はどこに置く?準備した後の保管場所と見直し方」で確認してください。
季節対応は「全部交換」ではなく「必要な部分だけ見直す」
非常持出袋を季節に合わせるときは、4季すべてで違うセットを作る必要はありません。
基本セットを維持しながら、
春は夏に向けた確認
夏は暑さ・熱中症対策
秋は台風・大雨と冬前の確認
冬は防寒対策
という形で調整します。
特に春・秋については、国が定めた専用の持出品リストがあるわけではありません。
季節の変わり目を中身の点検に利用し、自分や家族に必要なものが今の季節に合っているかを確認しましょう。
基本の非常持出品をまだ準備していない場合は、まず「非常持出袋の中身|最低限何を入れる?備蓄品との違いも解説」から確認してください。
参考情報
環境省「熱中症予防強化キャンペーン」
https://www.wbgt.env.go.jp/month.php
厚生労働省「熱中症予防のために」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212502.html
厚生労働省「災害時の健康管理」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/tiiki/saigai_00001.html
気象庁「台風の発生、接近、上陸、経路」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-4.html
総務省消防庁「非常持出品の準備」
https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/cat65/cat63/cat31/4-7.html
経済産業省「リチウムイオン蓄電池搭載製品の事故に注意」
https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/lithium_ion_battery.html
